【インタビュー】Armada選手へのインタビュー翻訳【SmashSummit2015】

 

今回の記事は2015年11月に行われた"SmashSummit2015"という大会でのArmada選手へのインタビューを日本語訳しました。インタビュー掲載の前に、Armada選手とSmashSummitという大会について簡単に紹介させていただきます。

 

 

【Armada選手】

 

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スウェーデン出身のピーチ、フォックスプレイヤー。

スマブラ5神”のひとりで愛称はニックネームの通り”無敵艦隊

絶妙な間合い管理と畳みかけるようなコンボにこれまで数々のプレイヤーが敗北を喫していました。

スマブラシリーズ最大級の大会であるAPEXシリーズでは2010年、2012年、2013年と優勝(2011年は開催されていません)。

今年のAPEX2015では準優勝と、優勝こそ逃してしまったものの、後に開催されたEVO2015では、Mango選手の3連覇を食い止めきっちり優勝とその勢いは衰えません。また、これまでピーチメインでプレイしてきたものの今年からはフォックスを使用。一度は引退した”無敵艦隊”ですが、現在は以前以上に力を発揮しています。

詳細は⇒Armada | 格ゲープレイヤーWiki

 

 

 

Smash Summit2015】

 

11月に開催されたこの大会。参加者は招待制で、投票や推薦によって選ばれたプレイヤーのみが参加することができるというこれまでにない一風変わったスタンスの大会でした。スマブラ5神のうちの4人(HungryBox選手は欠席)やPlup選手、S2J選手などそうそうたるメンバーが集結しています。

シングルスやダブルスのトーナメントはもちろんのこと、同じキャラクターで戦う”Ditto戦”や、一試合毎にストックを持ち越し、キャラクターを消費して戦っていく”iron man”など、少人数を活かし様々な企画が催された大会でした。

 

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【インタビュー】

 

今回はWife氏が大会前に行ったArmada選手へのインタビューを翻訳しました。

少し長いですが、読み応えは充分だと思います。

 

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※文中に出てくる「Melee」とはスマブラDXの意です。

 

Wife:Beyond the Summitが主催するスマッシュ・サミットの第一回大会からお送りしています。僕の隣には、あのArmadaさんが来てくれています。感激と緊張で胸いっぱいですが、たくさん質問していきたいと思います。
Armadaさんは、人間的にもたくさんの方にとって良いお手本ですが、あなたにとって手本になった人はいますか?

 

Armada:おそらく、僕が最初に出場したトーナメントで優勝したEKかな。彼はマルスでプレイしていたんだけど、プレイスタイルも美しく、独創的で、とても感動したのを覚えています。今でも一番影響を受けたプレイヤーを選べと言われたら、やはりEKと答えますね。二番目は、KDJですね。彼が復帰阻止を編み出したと言っても良いぐらいですから。実際、彼が発明したわけじゃないでしょうけど、ステージを飛び回っていましたよね。あれでゲームのおもしろさが広がりました。今では当たり前のように誰もが使う技だけど、初めて見た時は衝撃的でしたね。

 

Wife:確かに。僕もよく覚えていますよ。さて、スマッシュ・サミットの賞金は史上最高額と言われていますが、今週末の決勝に勝ったらいくら貰えるか知っていますか?

 

Armada:とぼけずに答えた方がいいですね。だいたいどれくらいかは知っていますよ。

 

Wife:なるほど。よかった。どれほどの賞金がかかっているかということはお分かりということですね。さて、質問ですが。今からおよそ1時間後に始まるブラケットマッチから週末の決勝まで、3日間、試合が行われるわけですが、誰が決勝に残ると思いますか、一方、期待が薄そうなのは誰でしょう?

 

Armada:今のところ、僕は、SFATとS2Jがなかなか上手いなと思っています。この二人はいいところまでいくんじゃないかな。でも、このブラケットは他のプレイヤーもみんな強いので、どうなるか分かりませんね。特にMeleeは、日によって、凄く調子良くて思い通りにプレイできるかと思えば、次の日は、打って変わって調子悪い、動きが鈍いってこともありますから。相手を倒すつもりが逆にやられたり、ほんの少しだけ相手より遅いってことが命取りになりますからね。ここ数日の様子は、今後の予想のヒントにはなるとは思うけど、決して予想通りになるとは言いきれませんね。本番では、誰がプレッシャーに打ち勝つか、誰が押しつぶされるかが肝ですよね。

 

Wife:でも、わざと油断させる為にゆっくりプレイする人もいたりしませんか? Armadaさん自身もそんなことしたりはしないんですか?

 

Armada:僕は手を抜かないように努めています。中には例えば、PPMDはApexやEVOの時に比べて調子悪いとか言う人もいますが。僕は自分のプレイに集中していたから、分からないけど。でも、いつもの調子が出てないからと言って、本番でも調子が悪いはずだとは言いきれないから、僕はとにかく最高のプレイができるように頑張るだけ。他のプレイヤーが僕について来れるかどうかは、彼ら次第ですよね。

 

Wife:誰が史上最強のMeleeプレイヤーかについて議論の分かれるところですよね。もちろんArmadaさんも、その1人ですが。ご自身は、最強のスマッシャーを決める基準とは何だと思いますか?

 

Armada:それは、過去も含めて史上最強という意味ですか? 

 

Wife:なるほど良い質問ですね。そうですね...では、過去も含めて史上最強を決めるには、何を基準にすべきだと思いますか? 絶頂期のスキルレベル?大会での優勝回数? 最強のスマッシャーとは、何を基準に決めるべきでしょう?

 

Armada:難しい質問ですね。どんな決め方をしても完全に公平とは言えませんから。優勝回数も1つの基準になりますが、過去には大会も多くありませんでしたし。各自の最高レベルを基準にするとなると、やはり過去のプレイヤーは不利ですよね。ゲーム自体、どんどん進化しているし、最初は誰にとっても新しいゲームだったわけですから、いきなり高いレベルには到達できないのは当然ですよね。なので、なにを基準にすべきか、とても難しいところです。できるだけ公平にはかるとすれば、勝利記録と最高レベルの両方を基準にするってことになるでしょうけど...難しいですね。

 

Wife:ところで、何カ国語話せるんですか?

 

Armada:2カ国語喋ります。

 

Wife:英語とスェーデン語?

 

Armada:はい、そうです。

 

Wife:年々、英語が上達してきましたよね。Meleeの大会のために学んだのですか?

 

Armada:そうですね、Meleeの大会に来ることで学びました。初めてアメリカに来た時は、英語は全く話せませんでした。もちろん英語を話す努力はしていたのですが、通じなくて、すごく困りました。大会出場のために旅することで、必然的に人と話す機会が増え、間違いから学ぶうちに上達しました。今も、英語が流暢とは言えませんが、人とじゅうぶん会話できるようにはなりました。

 

Wife:じゅうぶん以上ですよ。英語のスターストラックという言葉は知っていますか?

 

Armada:はい。

 

Wife:今の僕がまさにそれですよ。おかしいでしょ。かなり昔からよく知ってるのにね。でも、今、憧れのプレイヤーが隣にいるってことで、すごくワクワクしているんですよ。Armadaさんは、こんな気持ちになったことありますか?Meleeの大会で、憧れのプレイヤーに会って興奮したなんてことはありますか。

 

Armada:正直に言えば...ないですね。最初に大会に出場したのは、スェーデン時代の国内大会だったのですが、当時は、誰が強いかなんて、まだ分からない頃でした。誰もが、友達の中では一番、地域では一番だから、自分が最強プレイヤーだと思っていた、そういう時代でしたから。当時、凄いなぁと思うようなプレイヤーはいなかった...というか、兄とぐらいしかプレイしたことありませんでしたから。最初の大会は、Heliosが主催だったのですが、Helios兄とは既に知り合いで、僕も彼のことは聞いていたので、お気に入りのプレイヤーではあったのですが、ある意味、もう知り合いだったので...憧れのスマブラプレイヤーに会ってワクワクするような経験は、正直、ありませんね。最近スマブラを始めたというのなら、そういう経験もあるでしょうが、僕が始めたのはかなり昔ですからね。僕が大会に出場し始めた頃は、誰にとっても初めてという状況でしたから、そういう気持ちになれる機会は逃しました。

 

Wife:大会で試合を見ていると、よく「誰も聞いたこともないプレイヤーがこの大会で優勝するなんてことあり得る?」って聞かれるんですよ。もちろん、「いいえ」と答えるのですが。Meleeでは、そんなことはあり得ませんよね。ゲームの性質からして、頂点に上り詰めるには相当な技術が必要ですからね。いきなり無名の人が優勝するなんてことはあり得ないですよね。なので、早い段階で、この人は将来、手強い対戦相手になるだろうなと予想するのも難しいと思うのですが、何か、上手くなる兆し的なものは感じたりはしますか?

 

Armada:そうですね、高い可能性を秘めたプレイヤーは時々見かけますよ。でも、プレイを見ただけでは、判断し難いです。Leffenは、その良い例ですよね。初めて登場した時は、ほとんど無名でしたが、数か月の間にぐんぐん頭角を表して、経験豊富なプレイヤー相手に互角に戦うようになりました。そしてスェーデンで上位にランクするようになりましたね。彼は、いかにすれば上達するかを分析して、失敗から学び、新しい技を試したりすることで、伸びていったんです。こういう姿勢を持つプレイヤーは将来性があると言えます。日本のaMSaもその1人です。戦って、失敗から学び、新たな技術を身につけて戻ってくる。それが強くなる秘訣です。

 

Wife:では、その逆はどうですか? これでは上位プレイヤーには入れないなと判断できる危険信号はありますか?

 

Armada:これは、Meleeに限ったことではありませんが、何かが上手くなりたいと思うなら、自分の間違いに気付くことが大切です。失敗しないためには、どこを直せばいいのかを知る必要があります。たいていの人は、Meleeの練習として、とにかくプレイしますよね、もちろん、それも良いですよ。僕も最初は、とにかくプレイしました。それで、かなり上達はしました。でも、誰でも、そのうち壁に打ち当たります。ただ単にプレイしているだけでは、超えられない壁があるんです。どこが悪いのか理解しなければなりません。プレイすればするほど、着地キャンセルだの、”絶”だのテクニックは身に付いてきます。なので、ある程度は上達します。技術は向上するので、自分でも上達したと感じるでしょう。でも、使える全てのオプションを知らなければなりません。多くの人が陥る落とし穴は、同じ失敗を何度も繰り返すことです。そのままでは、それ以上の上達は見込めません。アインシュタインもうまいこと言っていますよね。同じ失敗を繰り返して、そのうち上手くいくことがあるだろうと期待するのは、バカだって。同じ間違いを正さずに繰り返していたら、10年経っても、同じ展開になれば同じところで必ず失敗するんです。自分の失敗が分からない。これがまさに危険信号ですね。自分の失敗の原因を理解しようとすること、それがトッププレイヤーになる素質です。

 

Wife:素晴らしい、核心を突いたアドバイスですね。ところで、賞金の話ばかりして申し訳ないけど、これまでにEVOやドリームハックで、Armadaさんは莫大な賞金を獲得し、このスマッシュ・サミットでも優勝の呼び声が高いプレイヤーですが、Meleeを今後もフルタイムの本業として続けていくつもりでプレイしているのでしょうか? だとすれば、精神面、身体面の両方から、今後、何年ぐらい続けられると思いますか? 

 

Armada:はい、Meleeは、既に僕の本業です。今年は特に好成績が続いていて、自分でも嬉しいですが、今後もこれを維持できるように全力で頑張っていきたいと思っています。ゲーム自体も、さらに大きく成長して欲しいですね。スマッシュ・サミット、EVO、そしていつか、任天堂も、このゲームの素晴らしさを自覚して、大会を開催してくれないかな。僕自身も、そういった大会に出場し続けたいです。幸い手が痛くなったこともありません。人生で一度だけですね。去年と比べ、今年は、諸々の理由から、あまりプレイしていなかったのですが、EVOの前の1か月間は、他に何もしないでひたすらMeleeをプレイしました。2週間ぐらいはぶっ通しで1日に8時間、ピーチとフォックスで練習したので、さすがに初めて手が少し痛みました。手の痛みを経験するプレイヤーのことはよく聞くので、その時は、これかと思いましたが、翌日には治っていました。どうやら、何週間も1日8時間ぐらいプレイしたら、手は痛くなるけど、翌日には治るみたいです。手は丈夫なようです。今後も、そうであって欲しいですね。精神面では、プレイを楽しめる間は、Meleeを続けたいと思います。もちろん、これが本業ですから、賞金のことを念頭に置いて頑張らないといけませんけどね。生活のため収入が必要ですから。そして、今後、Meleeを本業とするプレイヤーが増えればいいなと思います。今のところ、本業としている人は稀です。トップ15人のプレイヤーのほとんどが、本業は他に持っていますが、これは、Meleeにおいては不利ですよね。どうしても、彼らのレベルは1ランク下ですが、Meleeに割ける時間が限られているので、もう1ランク上がるのがとても難しいですからね。今後、どうなるか期待したいです。

 

Wife:そうですね。いろいろとうかがいましたが、大会があれば、出場してくれるとのことで、嬉しいです。そろそろ時間ですが、最後にスピードランです。次々に質問を投げますので、即答していってもらえますか?

 

Armada:受けて立ちます。

 

Wife:では、始めましょう。1番、山と海では?

 

Armada:海。

 

Wife:2番、ジージーとポップオフでは?

 

Armada:ジージー。いや、場合によっては、ポップオフ。

 

Wife:3番、フローズン(アナと雪の女王)とタングルド(塔の上のラプンツェル)では?

 

Armada:タングルドって、何?

 

Wife:フローズンは分かる? ディズニー映画の。

 

Armada:ああ。二、三週間前に観たよ。

 

Wife:偶然ですね。おもしろかったですか?

 

Armada:過大評価され過ぎですよね。

 

Wife:過大評価され過ぎだそうです。ってことは、この答えはタングルドでいいですね。そういうことにしておきましょう。

 

Armada:タングルドも何のことか分かったよ。

 

Wife:Meleeが発売されたのは何年?

 

Armada:2001年に北米と日本で、2002年にヨーロッパ。

 

Wife:最初にメインで使ったキャラは?

 

Armada:ピカチュウ

 

Wife:史上最強のスマッシャーは?

 

Armada:僕。

 

Wife:誰が今週末に優勝する?

 

Armada:僕。

 

Wife:みなさん、聞きましたか? スマッシュ・サミットよりArmadaさんでした!

 

翻訳元動画

www.youtube.com

 

 

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いかがでしたでしょうか。

かつて引退宣言をし、「もうプレイヤーとして復帰することはない」と宣言していたArmada選手が、今回のインタビューでは本業であると語っている姿に筆者は嬉しく思いました。この大会の結果については、下の動画を見ていただければ幸いです。

 

Armada vs Mango - Singles Grand Final - Smash Summit

www.youtube.com

 

 

 

以上、Armada選手へのインタビュー翻訳でした。

前回、今回の記事にだいぶ労力を使ってしまったので次回更新は未定ですが、スマブラDXに沿いつつ2015年を振り返れればと思っています。翻訳記事に関して言えば年明け1月に行われるジェネシス3のインタビューを記事にする予定です。